Article ID : 120
読書メモ:蝶の生態と観察
既知の情報を整理し、体形づけ、どこまでわかっているかを明示した、これからの日本の蝶学に欠かせない蝶研究者必携の書。
-中略-
本書は、時間や設備、文献など研究条件に恵まれない、一般のアマチュアや学生の蝶の生態研究、観察の指針となるようにまとめられた絶好のガイドブックである。 (築地書館Webサイトより)
上記のレビューにもある通り、蝶の生態についての既知の情報を整理・体系化した書であるが、「どこまでわかっているか」だけでなく「今後の課題は何か」という示唆に富んでいる。1988年発行だから22年も前の本なのだけれども、私の知識レベルでは今でも充分参考になる本だった。年に一度くらい読み返すと、新しいテーマが発見できそうな気がする。そうだな、Fieldworkに出る機会の少ない冬に、毎年読み返すことにしようか。
内容は非常に濃密なので、具体的な内容は紹介しづらいが、P147~150にまとめられた「蝶のすむ環境/草原と荒原」に関する記述は、以前紹介した富士山にすめなかった蝶たちの研究内容を整理したもので、「既知の情報を整理・体系化」の一端を垣間見ることができた。
また、私にとってとりあえず最も参考になりそうなのがこれ。
卵・幼虫・蛹の見つけ方
- 成虫の行動を見破ること
- 母蝶の目で好みの産卵部位を推定すること
- 食痕や巣に目がいくような訓練をすること
- ゆっくり歩き、しばしば立ちどまること
(逆に、つまらないと思ったらどんどん急ぐこと)- 時期、時刻を変えてチャレンジすること
- 固定観念を捨てること
- しらみつぶしに探すこと ※強調は引用者
これは、卵・幼虫・蛹の見つけ方であるけれども、強調した3つは成虫の生態撮影にもそもまま生かせそうだ。特に4.の「ゆっくり歩く」は私が苦手にしていることだ。せっかく良いポイントを見つけても、「先にもっと良いポイントがあるかも」と予定の行程を進むことを優先してしまい、後で後悔することが多い。その一方で「つまらない」ところでも時間をかけて歩いてしまうこともある。要するに「成虫の行動を見破れてない」ので、メリハリがつけられないのだ。自戒しなければ。
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