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読書メモ:蝶のある生活

  • 蝶のある生活 (築地書館:1986年12月1日)
  • 浅田孝二/浅田玲子 共著

本書は珍しい蝶の生態、その美しさ、自然界の織りなす神秘的な本能にあやつられた蝶の物語をつづったものである。読者はきっとこの本の魅力を堪能し、蝶好きになり虫好きになることだろう。(序文より:北杜夫)

毎度のことですがこの本も新刊ではなく、初版発行は1986年12月1日です。23年前。昆虫関係の本を探して読んでいると、どうしても古い本に行き当たることが多くなってしまいます。

さて、「蝶のある生活」は浅田孝二/浅田玲子というご夫妻の共著です。このご夫妻、なんと夫婦揃っての虫屋さん。書中では、ご夫人の玲子さんが主に幼虫飼育、どちらかといえば野外活動がお好きなご主人の孝二氏は飼育に必要な食草・食樹確保という役割分担になっている様子が窺えます。いずれにせよ、お互いの趣味が一致しているのが非常に羨ましい。

ご主人の孝二氏の筆による「二人三脚の旅」という一篇にご夫婦の馴れ初めが書かれている。最初、ご夫人の玲子さんから孝二氏へのカラスアゲハの雌雄についての質問の書簡から始まったお二人は、手紙をやりとりしたり、時折電話で話したりしながら互いに面識のないまま満2年が経過した後、ようやく一緒に採集に歩いてみよう、となって初対面を果たす。そして初対面の採集行から帰宅した孝二氏は心の中でつぶやく。

「君たちのおかげで、いい人に会えたよ」
ひとわたり食草の世話が終わったとき、ぼくは幼虫たちを見渡しながら、心の中でつぶやいた。

そして半年後、お二人はご結婚された。

それから約半年後に、ぼくたちは結婚した。20歳を越える年齢差その他の障害より、共に蝶を育てる喜びを分かち合いたいという切望の方が強かった。

この一篇を読んだだけで、私はご主人の孝二氏に感情移入してしまい、ご夫人の玲子さんの姿が私の脳内で理想の女性と化してしまった。もちろん、書中にはご夫人の写真などは収められていない。すべて私の脳内妄想である。その脳内妄想の理想の女性が、書中あちこちで泣いたり、笑ったりしている。ある意味、この本はお二人のラブ・ストーリーであるようにも感じられた。

この本は、ゴイシシジミやコノハチョウを飼育や、飼育のための食草・食樹探しの苦労など、ご夫婦の蝶との関わりを綴った本であるけれども、すでに書いたとおりとても感情豊かな文章となっているので、蝶の趣味を持たない人でも興味深く読めるだろう。

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